【根管治療・パーフォレーション】抜歯と言われた歯をマイクロスコープとレーザーを使用して根管治療を行なったケース

2023.02.06

こんにちは。東京都立川市にある歯医者の「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。

今回は抜歯と言われた歯を手術用顕微鏡(マイクロスコープ)とレーザーを使用して根管治療(歯根治療)を行なったケースについてです。

患者さんは右上の奥歯が痛み他歯科医院を受診され抜歯と言われたそうです。

なるべく歯を抜きたくないとの事で強く保存を希望されています。

 

■マイクロスコープを使用しての口腔内診査


手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して右上の奥歯を確認していきます。

白いお薬は仮封(仮の蓋)がしてあります。

オレンジ色は以前治療したベースのセメントだと思われます。
 

この状態では中はがどうなっているかわかりません。

患者さんによく説明をして仮封を外して確認します。

■マイクロスコープを使用しての仮封除去
 


パーフォレーション(歯に穴が開いている状態)をしていて、パーフォレーションの部分から歯肉が入り込んでいます。

出血もしているため、画像は白黒にしています。
 

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)の倍率を拡大して見ます。

思った以上にパーフォレーション部が大きいです。
 

パーフォレーションだけでなく、口蓋根から排膿と言って膿が出ています。

むし歯(虫歯)もかなり進行していて状態が良くないです。

この歯は抜歯してもおかしくない状態の歯です。

患者さんは根管治療途中で数年間歯科医院へ行けなかったそうです。

その間にむし歯(虫歯)が進行した可能性が高いです。

患者さんに画像を使って今の状態や歯を残すために必要な治療について説明しました。

■レーザーを使用しての歯肉を整えます


この歯は以前に歯の神経を治療してある歯です。

今回は再根管治療になります。
 


パーフォレーション部の歯肉をレーザーを使用して歯肉を整え止血します。

レーザーがあると歯肉を整える事と止血が一緒にできとても役立ちます。

例えばメスなどの鋭利なもので整えると出血が多く止血ができないと、根管治療ができません。

上手く止血もできパーフォレーション部を一時的に塞ぎます。

むし歯(虫歯)が進行して歯質がとても少ないため隔壁と言って歯を補強します。
 

■マイクロスコープを使用しての根管治療(歯根治療)


当歯科院の根管治療について→マイクロスコープを使用した根管治療
 


隔壁を作りラバーダム防湿を行いました。

紫色がラバーダムというゴムのマスクです。
 

根管内を根管専用の器具でキレイにしていきます。
 

根管内までむし歯(虫歯)が進行しています。

むし歯(虫歯)になると歯が溶けてグニャグニャになりとても柔らかくなります。

可能な限り根管内をキレイにしました。

1回目の根管治療はこれで終わります。

次回、症状がなければ根管内に最終的なお薬を入れます。

■マイクロスコープを使用しての根管充填


後日、来院時には痛みや違和感などは無くなっていました。

よかったです。

感染源を除去したことで症状が改善されたのだと思います。

根管内に最後のお薬を入れていきます。
 


手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して根管内に最終的なお薬の根管充填材を入れていきます。

上の画像は根管充填材を入れているものです。
 

根管内にお薬が入れ終わった状態です。

通常の流れではこの後土台を入れていきます。

今回は健康な歯質が歯肉の下にあるため、このまま土台や被せ物を入れるとキッチリ歯に接着しなかったり歯肉の炎症が起こる可能性が高いです。

そのため、次回の来院時にエクストリュージョンと言って矯正的に引っ張り上げる治療を行う予定です。

エクストリュージョンについて→右上の被せ物がはずれた方の治療(エクストリュージョン編)

今回の根管治療は2回で終わることが出来ました。

根管治療中に来院出来なくなると中でむし歯(虫歯)が進行します。

お忙しいと思いますが、治療が終わるまで来院して頂けたらと思います。

今回はここまでです。

続きの治療→【歯を残す・エクストリュージョン】抜歯と言われた歯をマイクロスコープ使用して保存治療

歯を抜かないで1本でも残せるように精進していきます。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史