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マイクロスコープを使用した歯周病治療/歯肉退縮の治療

歯周病治療の概要

歯周病は、日本人が歯を失う原因の第1位と言われています
(財団法人 8020 推進財団「永久歯の抜歯調査(H17年より)」)。

日本では成人のおよそ80%が歯周病の感染者、あるいは予備軍と言われています。
歯周病は初期段階では自覚症状が少なく進行してからもなかなか気付きにくいのが特徴です。

歯周病の原因は、歯根表面についている感染物(バイオフィルム)が原因だと考えられます。
口腔内は狭くて暗いため歯根表面の汚れを確認することはとても難しいです。

従来の歯周病治療では歯周病となった歯の感染物を主に手指の感覚等で除去していることや肉眼・拡大鏡では、正確に歯周病となった歯の歯根表面の汚れを観察し除去することがとても難しいです。

東京都立川市の歯医者「Inoue Dental Clinic」では 、手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を応用することにより、歯周病になった歯の歯根表面を正確に確認し、汚れを除去して行きます。
マイクロスコープの高倍率、高照明の観察方法で歯根表面を観察した場合、今までの視野とは大きく異なり安全で正確な歯周病治療ができる可能性が高いです。
 当院では、マイクロスコープを応用して低侵襲の歯周病治療を行っています。

『歯周病はどんな病気?』

歯周病は『歯周病菌』、バイオフィルムと呼ばれる細菌が原因です。
『歯周病菌』は歯周ポケット(歯周病となった歯と歯周組織の間の隙間)を作り、歯肉の奥へ進んでいくと歯を支えている歯周組織(歯槽骨、歯肉など)を失います。
歯を支えている歯槽骨を失うと、歯は徐々に揺れ始めグラグラになり最終的には抜けてしまう場合もあります。

毎日の正しい歯磨きや定期的に歯科医院でのメインテナンスの継続は非常に大切です。

厚生労働省 歯科疾患実態調査から4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合は、高齢になるにつれ増加しており年次推移を見ると、この調査ではほぼ全ての年代で高い値を示しています。

歯肉出血を有する者の割合は、15歳以上の年齢階級で30%を超え、30歳以上55歳未満で40%を超えます。


財団法人 8020 推進財団
「永久歯の抜歯調査(H17年より)」

厚生労働省 歯科疾患実態調査(H23年)

なるべく歯を抜かないために

歯周病になった歯の汚れを除去するのが難しいことは、この論文に歯周ポケットが3.73mm以上あると根っこに付着した汚れ(バイオフィルム)を完全に除去することが難しいと報告されています(Stambaugh RV, DragooM, Smith DM, Carasali L:The limits of subgingival scaling.1981)。

つまり歯周ポケットが約4mm以上になると汚れを完全に除去することは非常に困難ということです。

歯周病は感染症のため汚れを除去できなければ歯周病の改善は難しいです。
しかし、口腔内は狭くて暗いため肉眼や拡大鏡(ルーペ)での従来の治療では、根っこに付着している汚れを確認して除去することが非常に困難です。

Inoue Dental Clinic」ではなるべく歯を抜かないことを目指すために、マイクロスコープを応用した歯周病治療を行っています。
従来の歯周病治療と比べて明るく拡大することで安全で正確に根っこに付着した汚れを確認し、汚れを除去して行きます。

マイクロスコープを使用しての歯周病治療は自費治療になります。


手術用顕微鏡(マイクロスコープ)

歯周病治療はいつはじめるの?

歯周病は細菌の感染症のため1日も早く感染源の除去(歯周病治療)が必要です。
歯周病が進行すると歯周組織が破壊され、進行すると骨(歯槽骨)が溶かされ歯がグラグラしていきます。
一度失った骨は元に戻ることは非常に困難です。

歯周病の進行状況も年齢も早い段階での治療の方が改善傾向が高いです。
ご不明な点がありましたら担当歯科医師までお問い合わせ下さい。

喫煙は歯周病によくないの?

歯周病罹患率と禁煙の関係は、ずっと喫煙を続けている人が歯周病になる危険率は3.3であるのに対し以前は喫煙していたが、いまは喫煙していない人の危険率は2.1まで下がると報告されています(Haber J and Kent RL:Cigarette smoking in periodontal practice.J Periodontol, 63 :100,1992)。

喫煙は歯周病になりやすいだけではなく、歯周病治療の効果が減少します。
結果、喫煙していると歯周病になりやすく、歯周病治療をしても改善しにくい状態をつくりあげることになります。

喫煙者の方はまずは禁煙から初めてみませんか?

マイクロスコープを応用した歯周外科処置

従来では難しかった歯周病治療をマイクロスコープを応用することにより、最小倍率3.4倍~最大倍率21.3倍での高倍率の視野で歯と歯肉の隙間から歯根に付着した汚れを確認し除去します。
マイクロスコープを応用した処置では低侵襲に、深い歯周ポケットの汚れを除去します。


術前の3.4倍率

術前の21.3倍率

術後の3.4倍率

術後の21.3倍率

歯肉退縮とは?

歯肉退縮は加齢の変化、歯ぎしり、食いしばり、過度なブラッシングなど様々な要因で歯肉が退縮してしまい歯根が露出してしまうことです。
進行状態にもよりますが、冷たいものがしみる知覚過敏症状が強い方もいます。

歯肉退縮の一般的な問題点は以下のものが考えられます。
①根面カリエス(歯の根っこの部分がむし歯)
②歯周病
③審美的によくない

歯肉退縮の治療として歯周形成外科(歯肉移植)があります。根面被覆術とも呼ばれています。
根面被覆術を行うと象牙質知覚過敏症が71.42%改善されたという報告されています(J Clin Periodontol. 2009 Jan;36(1):68-79. doi: 10.1111/j.1600-051X.2008.01346.x. Epub 2008 Nov 20)。

歯周形成外科処置(歯肉移植)

Millerの分類

歯周形成外科(歯肉移植)の適応症は、歯肉退縮、歯周病により歯肉の炎症がある状態から、歯周病治療後に歯肉が引き締まり根っこが一部露出した場合や知覚過敏症状がある場合、歯肉が薄く歯ブラシがきちんと当てられない場合、審美性を回復する場合などに行う手術です。
根面被覆は根面カリエスの予防、歯周病予防、審美的回復などを目的としています。

*歯周病治療が終わり歯周病が改善された方が適応となります。
喫煙されている方は予後がよくないため手術は難しいです。

注意すべきは、両側歯間部(歯と歯の間)の組織が失っている場合は、根面被覆(根っこを歯肉で覆う)はとても難しいです。
歯肉退縮の分類はMillerの分類(A Classification of Marginal Tissue Recession Prestou D.Miller,Jr.D.D.S “The International Journal of Periodontics and Restorative Dentistry 1985”)が有名です。
現在はCairoの分類も有名です。
Miller Class 1もしくはMiller Class 2が根面被覆の適応となります。
歯と歯の間の歯周組織が失われているMiller Class 3,4の根面被覆はとても難しいです。

歯周形成外科処置(歯肉移植)の流れ

治療の流れです。

  • 1

    歯肉退縮(歯肉が下がり根っこが露出した状態)しています。

  • 2

    麻酔をして歯と歯肉の間に歯肉を移植するための隙間を作ります。

  • 3

    上顎の奥歯の内側の歯肉を採取し、採取した歯肉を歯肉退縮した部位に挿入して縫合します。

  • 4

    治療中はもちろん治療後も定期的な歯科医院でのクリーニングをお願いします。

マイクロスコープを使用しての歯肉退縮の治療は自費治療になります。
患者さんの状態によって術式や費用が異なります。

Case

患者:50代、女性

20年以上前から左上の奥歯の歯肉の違和感が続き歯肉から出血、歯肉の隙間が気なることで来院。マイクロスコープ下にて歯周病治療+歯肉移植を行いました。
その後、根管治療を行いセラミッククラウンを入れました。
現在は良好な経過となっています。

患者:20代、女性

左上の犬歯、小臼歯がブラッシング時に歯肉が痛み,しみる症状があり来院。
歯肉移植を行いました。
現在は症状も改善されています。

一人でも多くの方の歯が残せるよう日々診療しております。
個人差や生体の反応もあるため予後を保証することはできません。
抜歯するかお悩みの方、抜歯の前に是非一度ご相談ください。

費用の目安 

1歯 22,000円~77,000円(税込)

*マイクロスコープを使用しての歯周病治療・歯肉退縮治療は自費治療になりますので、保険適用はできません。
*歯周病の進行状態や歯周ポケットの深さ、歯周組織の状態によって費用が変わります。詳しい内容は担当の歯科医師にお問い合わせ下さい。

治療によるリスク・副作用等の注意事項

  • 歯周病はバイオフィルム感染症と言われています。ご自宅でのホームケアと歯科医院での定期的なメインテナンスが必要となります。ご自宅での正しいプラークコントロール(歯みがき、デンタルフロスの使用)や定期的に通院できない場合は、治療後も歯周病が再発や進行してしまう可能性があります。そのために、歯周病治療終了後に継続して3~4ヶ月に一度のメインテナンスを受けることをお願いしています。(状態によっては期間が短くなる場合もあります。)
  • 歯周病治療は予後を保証するものではありません。歯周病治療によって、歯肉退縮、歯肉の隙間、しみる症状、根面カリエス(むし歯)などの可能性などがあります。個人差もあり生体の反応によるもので、治療後の保証はできません。万が一保存不可能な経過になる可能性もあります。
  • 喫煙は歯周病治療の予後を左右し、リスクが高いです。禁煙をお願いします。禁煙が難しい場合は治療を行えないことがあります。

歯周形成外科処置(歯肉移植)のリスク・副作用:

・出血、腫脹、疼痛、歯肉の違和感、歯肉退縮、しみる症状など
※歯肉退縮の進行状態、歯の本数によって費用が異なります。全身疾患、持病がある方、個人差や生体反応などもあるため、すべての方が適応ではありません。詳しくは担当歯科医師にご相談下さい。
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