【歯を残す・歯周病治療】手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して歯周ポケット8~10mmの歯周再生療法

2024.08.02

こんにちは。

東京都立川市の歯科医院「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。

今回は手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して歯周ポケット8~10mmの歯周再生療法についてです。

患者さんは60代後半の女性です。

左上の奥歯の歯肉に違和感が続く。歯もぐらぐらする。歯を抜かないで治療をしてほしいことを主訴に来院されました。

左上の歯の精密検査を希望されています。

初診時の手術用顕微鏡(マイクロスコープ)で口腔内を確認していきます。

こちらは左上の頬側面です。
 

左上の前から6番目7番目の金属が入っている歯肉が特に腫れています。

全体的に歯周病が進行している可能性が高いです。

今回は主訴である左上の歯を診査をしていきます。
 


手術用顕微鏡(マイクロスコープ)の倍率を拡大します。

歯と歯肉の歯周ポケットに白いバイオフィルム(デンタルプラーク)が認められます。

患者さんは歯磨きを頑張っているとのことです。

こちらは口蓋側になります。
 

歯肉が赤く腫れています。

歯周ポケットは8mmから10mmと非常に深いです。

歯の動揺の上下に動くほどです。

この歯の歯周病の分類はステージⅣ、グレードCで保存が難しい可能性が非常に高いです。

患者さんによく説明し治療法など説明しました。

この歯は歯周病治療だけでなくむし歯治療や根管治療(歯内療法)などの治療も必要になります。

患者さんはこの2本の治療を希望されました。

後日、治療を開始となりました。
 

浸潤麻酔を行い、歯根表面に付着した歯石、バイオフィルムや毒素などを除去します。

当歯科医院の歯周病治療です→マイクロスコープを使用した歯周病治療

このテクニックは、手術用顕微鏡(マイクロスコープ)で世界的に有名な秋山勝彦先生が考案されたものです。

名称はG-SAFといいます。

G-SAFとは、Gingival Sulcus Access Flap Micro Surgeryの略語です。

今までの重度の歯周病治療は、フラップ手術と呼ばれる歯肉を切開して汚れを確認しながら行う事が多いのですが、秋山勝彦先生が開発されたこのテクニックは違います。

秋山勝彦先生が考案されたミラー付き剥離子を歯肉の中に挿入し、それをマイクロスコープで観察し、歯根表面に付いた汚れを確認しながら、歯根をなるべく傷つけないように除去していきます。

歯肉を切開しないので、術後の痛みも少なく、治癒がとても良いです。

しかし、歯と歯肉の約2mmほどのスペースからのアプローチになるためとても難しいテクニックになります。
 


汚れを除去していくと黒く変色したむし歯や歯根表面に茶色い歯石その上に付着したバイオフィルムが認められます。

肉眼やルーペではこの画像のように歯根表面を観察することは難しいと思われます。
 

歯根表面の歯石やバイオフィルムなどを除去しました。

ポケットが深いとマイクロスコープを使用しても確認することが難しく、器具も届きにくいです。

なるべく早い歯周病治療をお薦めしています。
 

約1瞬間後の画像です。

歯肉を切開していないので痛みもなく経過は良好です。

口蓋側です。
 


まだ術後1週間ですが歯肉の腫れが改善傾向にあります。

歯肉の赤みも軽減しています。

この後はむし歯もあり、根管治療も必要なため治療は続いていきます。

今回はここまでです。

歯周病治療は非常に難しいです。

素晴らしいテクニックとマイクロスコープを使用すること今まで保存が難しいと言われている歯の治療ができる可能性が高いと思われます。

エムドゲインを使用した歯周病治療は自由診療になります。

治療期間・回数:1回
費用(自由診療になります。):183,800円(エムドゲイン材料代込み)*大臼歯2本
リスク・副作用:出血、腫脹、疼痛、歯肉の違和感、歯肉退縮、しみる症状など
※歯周病の進行状態、歯の本数によって費用が異なります。
個人差や生体反応もあるため、すべての方が適応ではありません。
予後を保証するものではありません。
詳しくは担当歯科医師にご相談下さい。

今回は以上になります。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した歯肉退縮、歯周病治療や根管治療などご希望の方はご連絡お待ちしています。

今後とも患者さんの歯を残せる様に精進していきます。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史
 
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