【根管治療・パーフォレーション】左上の歯がたまに痛む方のマイクロスコープとレーザーを使用して根管治療を行なったケース

こんにちは。

東京都立川市にある歯医者の「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。

今回は左上の歯がたまに痛む方のマイクロスコープとレーザーを使用して根管治療を行なったケースについてです。

患者さんは左上の奥歯が時々痛みがあることが気になり当歯科医院を受診されました。

2~3年前に他歯科医院で根管治療をしてもらったそうです。

その後ぐらいから全身に巡る嫌な感じが出て、身体の調子が良くなく、皮膚も荒れるようになったそうです。

金属アレルギーなどはないそうです。

受診されていた歯科医院さんや皮膚科の先生にも相談されたそうですが、特に以上所見はないとのことでした。

当歯科医院は通常の根管治療は行っていますが、根管治療を行っても全身の症状が改善されるかはわからないと説明しました。

 

■手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して原因歯の検査



左上の前から6番目の第一大臼歯を確認します。

 


キレイな白い被せ物が入っています。

歯肉を押すと歯と歯周ポケットから排膿が認められます。

白い液が膿と思われます。

X-P写真所見からおそらくジルコニアクラウンと思われます。

他にも診査を行います。

根管治療が必要と判断し、患者さんによく説明し同意を得て次回から根管治療を行うことになりました。
 

■実際の手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した根管治療


ジルコニアクラウンはセラミックと比べると強度が高くとても硬いです。

 

ジルコニアクラウンを除去していきます。
 

無事にジルコニアクラウンが除去できました。

その後、レジン系のファイバーコア(プラスチックの土台の心棒)が入っています。

次はファイバーコアを除去します。

このレジン系のコアは白色のため歯質と見分けが難しいです。

特に肉眼での治療はどこがファイバーコアでどこが歯質なのか区別がつかないと思われます。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)は高照明、高倍率のため口腔内の暗くて狭い環境下でもよく見えます。

慎重にファイバーコアを除去していきます。
 

ファイバーコアを除去後に歯質を補強するために隔壁を作ります。

その後、ラバーダム防湿を行い根管治療が始まります。

根管口のに古い根管充填材(ガッタパーチャ)などを除去していきます。

上の画像のように除去していくと、通常の根管治療と異なりネバネバした材料が出てきました。

おそらく、レジン系の接着材で硬化していないのかと予想しました。

慎重に除去していきます。

レジン系材料をすべてを除去していませんが、出血が認められました。
 

止血を行い手術用顕微鏡(マイクロスコープ)の倍率を上げて確認します。

歯肉も見えています。

パーフォレーションといって歯に穴が空いていると思われます。
 


歯肉がパーフォレーションの部分から根管内に出てきています。

少しでも歯肉に触ると出血してきます。

出血すると根管の状態などを観察することが非常に難しいです。

そのため、炭酸ガスレーザーを使用して歯肉を整え、止血を行います。

その後、根管治療を通常通り行いました。

今回は3回の来院で根管治療が終わりました。

パーフォレーション部にはMTAセメントを入れてリペアしました。

患者さんの症状は改善されました。

私が驚いたのは、全身に巡る嫌な感じや皮膚が荒れた症状が改善されたそうです。

本当によかったです。

なるべく回数を少なくしたかったのですが、ジルコニアクラウンやファイバーコアの除去、パーフォレーションなどありましたので回数がかかってしまいします。

1回の治療時間が長くなるため、患者さんとよく相談します。

根管治療時はお口を閉じることができないとめ顎がつらかったりする場合は無理をすることなく切りの良いところで終わる場合のあります。
 

■まとめ


今回の治療のまとめは根管内にパーフォレーションがあり、その部分にレジン系の接着材などでリペアをしてありました。

レジン系の材料が完全に硬化していなかったです。

口の中やパーフォレーションしている部位の根管内は乾燥することは非常に難しいです。

おそらく、水分がレジン系の硬化の阻害要因だったのかも知れません。

今回の患者さんは硬化してないレジン系の材料があることで化学物質過敏症の可能性が高いのではないかと思われます。

歯科材料でレジン系をよく使用します。

この方はレジン系でも硬化していれば問題なく使用することができました。

その点、MTAセメントは水分があっても効果がある親水性が高く、生体親和性も高いといわれています。

すべての方が今回の患者さんのように改善できるというわけではありません。

実際、ジルコニアクラウン除去、ファイバーコアの除去、硬化していなかったレジン系の材料の除去、根管治療を行って経過観察をしないとわかりませんでした。

動画での説明によりなぜ治療が必要なのか、どのような状態なのか、治療中はどのようになっているか、どのような材料で治療してもらえるのかなどお見せすることができるのもとても良いです。

患者さんからは安心すると言って頂きました。

これからもなるべく歯を残せるように精進していきます。
 

■費用


根管治療回数:3回(約1ヶ月)
費用:コア除去22,000円
   パーフォレーションリペア33,000円
   根管治療132,000円
リスク・副作用:腫脹、疼痛、歯肉の違和感など
すべての歯が適応ではありません。
詳しくは担当歯科医師にご相談下さい。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史
 
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