【根管治療・根尖病変】右下の奥歯の歯肉が腫れた。他歯科医院で抜歯と言われた方のコア(土台)除去
2024.02.06
こんにちは。
東京都立川市の歯科医院「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。
今回は右下の奥歯の歯肉が腫れた。他歯科医院で抜歯と言われた方の根管治療の内容を書きたいと思います。
患者さんは右下の奥歯を今まで何回か根管治療を受けたそうです。
以前は、体調などが悪い時は腫れたり違和感が続いたりしたそうです。
最近は腫れた感じが継続していると仰っていました。
通院されていた歯科医院さんでは抜歯をした方が良いと言われたそうです。
患者さんは手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して根管治療を希望されています。
まずは口腔内診査やX-P写真などの資料を取り診査診断を行います。
前歯から数えて7番目の右下第二大臼歯の頬側歯肉が腫れています。
歯と歯肉の間の歯周ポケットを測ると4mm以上が認められました。
歯と歯肉の間の歯周ポケットから排膿も認められます。
打診痛や動揺もあり根尖部圧痛も確認されました。
患者さんの同意を得てデンタルX-P撮影を行いました。
根管内にコア(土台)は入っていますがその先の根管は治療されていないように見えます。
歯根膜腔の拡大も認められます。
根管治療を行わないといけませんが、歯根の約1/2以上にコアが入っているため除去が難しいと思われます。
デンタルX-P写真の画像では、おそらく金属ではなくレジン系のコアだと判断しました。
レジン系のコアだと根管内と接着しているため削らないと除去が難しいと思います。
そして、レジン系のコアは金属のコアと異なり色が白く歯質と似ています。
長いコアを除去しないと根管治療ができません。
気をつけてコアを除去しないと方向を間違えてり、必要以上に歯を削りすぎると最悪のケースは歯に穴が開くパーフォレーションや破折の原因となり抜歯になる可能性が高いです。
患者さんにはリスクの高い根管治療になることをよく説明し同意を得て治療を行うことになりました。
当歯科医院の根管治療についてです→手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用してした根管治療
根管治療を行う前に銀歯やコアを除去していきます。
金属の被せ物を除去しました。
やはり、コアはレジンでした。
コアを削っていくとむし歯(虫歯)で茶色く変色した歯質が見えてきました。
まだ、根管口は見えません。
デンタルミラーを使用して確認します。
根管口にぎっしりレジンが詰まっています。
慎重に除去しないとパーフォレーションやステップ(段差)を作ってしまいます。
根管口が見えてきました。
根管口をもっとキレイにした後に根尖のアプローチをしていきます。
根管から壊疽臭(腐った臭い)や排膿もありました。
手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しなければ、歯質と色が似ているレジンコアの除去はとても難しいと思います。
根管内は特に狭くて暗いです。
手術用顕微鏡(マイクロスコープ)の高照明、高倍率を利用して確認しながら、安全に治療を進めることができると思います。
肉眼での治療だと難しいと思われます。
後日の歯肉の状態です。
術後の痛みはなかったそうです。
まだ、腫れの後の赤みは少しあるものの改善傾向にあります。
何より患者さんの腫れた感じか続く症状や違和感が気にならなくなったそうです。
問題なければ次回最終的なお薬を根管内に入れて根管治療が終わります。
今のところ歯を抜かなくても良さそうです。
患者さんも喜んでくれてよかったです。
手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用できなければ、治療は難しいケースだと思いました。
すべての方がこの治療の適応ではありません。
歯質が薄く場合や歯根破折、重度歯周病などの場合は保存が難しい場合もあります。
これからも歯をなるべく残せるように精進していきます。
根管治療回数:2回(約1ヶ月)
費用:コア除去22,000円
根管治療132,000円
リスク・副作用:腫脹、疼痛、歯肉の違和感など
すべての歯が適応ではありません。
詳しくは担当歯科医師にご相談下さい。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史
東京都立川市の歯科医院「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。
今回は右下の奥歯の歯肉が腫れた。他歯科医院で抜歯と言われた方の根管治療の内容を書きたいと思います。
患者さんは右下の奥歯を今まで何回か根管治療を受けたそうです。
以前は、体調などが悪い時は腫れたり違和感が続いたりしたそうです。
最近は腫れた感じが継続していると仰っていました。
通院されていた歯科医院さんでは抜歯をした方が良いと言われたそうです。
患者さんは手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して根管治療を希望されています。
■診査
まずは口腔内診査やX-P写真などの資料を取り診査診断を行います。
前歯から数えて7番目の右下第二大臼歯の頬側歯肉が腫れています。
歯と歯肉の間の歯周ポケットを測ると4mm以上が認められました。
歯と歯肉の間の歯周ポケットから排膿も認められます。
打診痛や動揺もあり根尖部圧痛も確認されました。
患者さんの同意を得てデンタルX-P撮影を行いました。
根管内にコア(土台)は入っていますがその先の根管は治療されていないように見えます。
歯根膜腔の拡大も認められます。
根管治療を行わないといけませんが、歯根の約1/2以上にコアが入っているため除去が難しいと思われます。
デンタルX-P写真の画像では、おそらく金属ではなくレジン系のコアだと判断しました。
レジン系のコアだと根管内と接着しているため削らないと除去が難しいと思います。
そして、レジン系のコアは金属のコアと異なり色が白く歯質と似ています。
長いコアを除去しないと根管治療ができません。
気をつけてコアを除去しないと方向を間違えてり、必要以上に歯を削りすぎると最悪のケースは歯に穴が開くパーフォレーションや破折の原因となり抜歯になる可能性が高いです。
患者さんにはリスクの高い根管治療になることをよく説明し同意を得て治療を行うことになりました。
■手術用顕微鏡(マイクロスコープ)してのコア除去
当歯科医院の根管治療についてです→手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用してした根管治療
根管治療を行う前に銀歯やコアを除去していきます。
金属の被せ物を除去しました。
やはり、コアはレジンでした。
コアを削っていくとむし歯(虫歯)で茶色く変色した歯質が見えてきました。
まだ、根管口は見えません。
デンタルミラーを使用して確認します。
根管口にぎっしりレジンが詰まっています。
慎重に除去しないとパーフォレーションやステップ(段差)を作ってしまいます。
根管口が見えてきました。
根管口をもっとキレイにした後に根尖のアプローチをしていきます。
根管から壊疽臭(腐った臭い)や排膿もありました。
手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しなければ、歯質と色が似ているレジンコアの除去はとても難しいと思います。
根管内は特に狭くて暗いです。
手術用顕微鏡(マイクロスコープ)の高照明、高倍率を利用して確認しながら、安全に治療を進めることができると思います。
肉眼での治療だと難しいと思われます。
後日の歯肉の状態です。
術後の痛みはなかったそうです。
まだ、腫れの後の赤みは少しあるものの改善傾向にあります。
何より患者さんの腫れた感じか続く症状や違和感が気にならなくなったそうです。
問題なければ次回最終的なお薬を根管内に入れて根管治療が終わります。
今のところ歯を抜かなくても良さそうです。
患者さんも喜んでくれてよかったです。
手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用できなければ、治療は難しいケースだと思いました。
すべての方がこの治療の適応ではありません。
歯質が薄く場合や歯根破折、重度歯周病などの場合は保存が難しい場合もあります。
これからも歯をなるべく残せるように精進していきます。
根管治療回数:2回(約1ヶ月)
費用:コア除去22,000円
根管治療132,000円
リスク・副作用:腫脹、疼痛、歯肉の違和感など
すべての歯が適応ではありません。
詳しくは担当歯科医師にご相談下さい。
今後ともよろしくお願いします。
井上貴史
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