【根管治療・根尖病変・メタルコア除去】左下の奥歯の根尖病変の根管治療(未治療の根管の治療)

2024.02.05

こんにちは。

東京都立川市の歯科医院「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。

今回は左下の奥歯の根尖病変の根管治療(未治療の根管の治療)についてです。

患者さんは左下の奥歯の歯肉が腫れたことが気になり来院されました。

強い痛みはないが違和感があるそうです。
 

■口腔内診査



手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して根管治療を希望されています。

口腔内を確認します。
 

右下の第二大臼歯部の頬側の歯肉が腫れています。

銀歯で修復されています。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を拡大していきます。

 


歯と歯肉の間を測る歯周ポケット検査は4mm以上が認められました。

拡大をすると肉眼で見るものと大きく異なり、腫れているのがわかります。

患者さんの同意を得て、X-P診査を行いました。

3次元的な画像診査が必要と判断してCT撮影をさせて頂きました。
 


この画像は水平面を上から見ているイメージです。

向かって右側の画像が歯冠部付近の歯根です。

左側の画像は歯根尖付近です。

白く写っているのは、以前根管治療を行った際の最終的なお薬が根管内にあることを示しています。

黄色い点線で囲った部分に白く写っていません。

その周りが黒い透過像の黒い影が認められます。

この点線部の根管(遠心舌側根管)の根管治療が未治療の可能性があることを疑いました。

患者さんに現在の状態を手術用顕微鏡(マイクロスコープ)の画像やCT画像などを使用してよく説明します。

患者さんは根管治療の希望されています。
 

■手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用してメタルコア除去



実際の治療です。

まず治療中に痛みなどの深い症状がないように麻酔を行います。

銀歯を除去をしました。
 


銀歯の下には大きなメタルコアという土台が入っていました。

平行性があまりとれていない大きなメタルコアがあったので、近心と遠心で二等分割を行い除去を試みました。
 


メタルコアを分割しています。
 


メタルコアが確実に分割されているか確認をしています。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しているため、よく見えます。

口腔内は狭くて暗いため、肉眼だとよく見えません。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)がなければよく見えないので、感覚での治療に近いので時間がかかってしまう可能性が高いと思います。
 


無事にメタルコアが除去できました。

むし歯(虫歯)になり変色している部分もあります。
 


むし歯を除去しました。

根管治療を始める前にまずは、歯冠部のむし歯などを徹底的に除去していきます。

 

■手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しての根管治療


歯質が薄い部分もあるため隔壁という補強をしました。

ラバーダム防湿といってゴムのマスクをつけます。

根管治療中に唾液が入らないようにしたり、薬液が口腔内に漏れないようになどの目的でラバーダムを行います。

 


こちらがラバーダムをつけた状態です。

点線で囲った部分がおそらく以前根管治療がされていない根管と思われます。

術前にCT撮影をしているので、未治療の根管と思いました。

オレンジ色に見えるものは、ガッタパーチャという根管内に入れる最終的なお薬です。

 


このガッタパーチャや未治療の根管をキレイにしていきます。

根管内を拡大を洗浄を繰り返します。

今回はここまでです。

次回問題がなければ最終的なお薬を根管内に入れる予定です。

後日の画像です。
 

根管治療を行う前の腫れは完全されたと思われます。

やはり、術前の診査、診断のように未処置の根管が原因だと思われます。

根管治療を行うためには、CT画像とマイクロスコープがあると診査、診断はもちろん治療にとても役に立ちます。

患者さんへの説明も口頭のみでお話しするより、はるかにわかりやすくお伝えできます。


根管治療回数:2回(約1ヶ月)
費用:CT撮影11,000円
   メタルコア除去22,000円
   根管治療132,000円
リスク・副作用:腫脹、疼痛、歯肉の違和感など
詳しくは担当歯科医師にご相談下さい。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史