【小児歯科・舌小帯短縮症】舌がうまく動かせないお子さんの治療

2023.09.06

こんにちは。

東京都立川市にある歯医者の「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。


今回は舌がうまく動かせないお子さんの治療について書きます。

いつものマイクロスコープ(手術用顕微鏡)を使用した根管治療や歯周病治療などとは違う内容です。

小学生高学年の男の子です。

お母さんと来院されました。

舌が上手く動かせないため、話しにくいとのことです。

特に日常生活に困ることはないそうです。

今まで市の歯科健診時に舌小帯について歯科医師から言われていたそうです。

かかりつけの歯科医院さんからは歯科口腔外科がある大きな病院での舌の手術を勧められたとのことです。
 

■初診時の状態


初診時の写真です。
 


舌を前に出してもらっています。

舌小帯が強く付着しているため、舌の先端がハート型に凹んでいます。

舌が引っ張られて上手く前に出せません。
 

こちらは舌を上顎につけてもらうようにしてもらっている写真です。

舌小帯が強いく付着しているため、上手く舌をあげることができません。

そのため、ら行など舌を上顎につけて発音する言葉が上手くできません。
 

■舌小帯短縮症とは
 

舌小帯短縮症とは、舌小帯の付着が強く上の画像のように舌の運動が制限されている状態です。

他にも「舌強直症」、「舌癒着症」、「舌小帯癒着症」、「短舌症」とも呼ばれます。

今回は患者さんの希望のあり処置をすることになりました。

後日、舌周囲に麻酔をします。

その後、舌小帯を切除します。

舌の制限されず動かせるようになったか確認します。

出血の状態も確認し終了となります。

術後の痛みも特になく学校での給食も食べられたそうです。
 


術後約2ヶ月後の経過観察時です。

舌が制限されずに前に出せるようになりました。
 

上顎に舌がつけられるようになりました。

発音しやすくなったそうです。
 

左が術前です。

舌先がハート型になっています。術後は制限がなく舌の可動域が広がっています。
 


左が術前です。

舌小帯が強く付着しているため舌が上に持ち上がりません。

術後はら行などもスムーズに発音できるようになったそうです。

今回は小児の舌小帯についてでした。

症例が難しい場合は大きな病院の歯科口腔外科の先生に紹介すさせて頂きます。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史