【根管治療・歯を残す】自覚症状が全くない左下の歯の手術用顕微鏡(マイクロスコープ)での根管治療を行ったケース

2024.06.07

こんにちは。

東京都立川市の歯科医院「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。

今回は自覚症状が全くない左下の歯の手術用顕微鏡(マイクロスコープ)での根管治療を行ったケースについて書きたいと思います。

患者さんは他の歯の治療を手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して治療を希望され来院されました。

その歯の治療は終わり、他の歯も治療が必要なら手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して治療して欲しいということで今回治療することになりました。

患者さんは痛みや違和感など全く症状はありません。

左下の奥歯に物がつまる事が気になるくらいだそうです。
 

左下の前から6番目の第一大臼歯が今回の治療の歯です。

レジンという歯科用のプラスチックで修復されています。

大臼歯で歯質が少なく、X-Pから根管治療もされている歯です。

大臼歯は力が大きくかかる歯のため大きくレジンで修復されているものだと歯が破折やクラックなどにより壊れる可能性が高いです。
 


頬側から確認します。

やはり欠けて穴が空いてむし歯(むし歯)になっていました。

食べかすやバイオフィルム(歯垢、プラーク、細菌の塊)が詰まっていました。

患者さんに現状や治療法などをよく説明し同意を得て治療を行うことにしました。

まずは、古い修復物のレジンを除去していきます。
 

レジンは柔らかいのでサクサク削れます。

歯と異なり柔らかいので、大きくレジンで修復するとあまりよくないかもしれません。
 

レジンを除去すると中はむし歯が広がっていました。

歯の神経の治療をした歯なので、鋭い痛みなどの症状がなくて気づかずにここまでむし歯が進行して患者さんは驚いていました。

治療後には患者さんにこの画像(患者さんには動画)を見てもらいます。

根管治療しなかったら、歯根深くまでむし歯が進行していたら歯を残すことが難しく抜歯になっていたかもしれません。

自覚症状がないのは怖いですね。

歯冠部(歯の頭)の汚れを手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して徹底的に除去していきます。

その後、隔壁という補強を行いラバーダム防湿を行います。
 

こちらがラバーダム防湿を行った状態です。

点線で囲った部分に違和感があります。

他の3箇所はガッタパーチャというオレンジ色の根管充填材が入っています。

点線の部分には入っていません。
 

点線の部分を触ってみると出血してきました。
 

歯髄(歯の神経)がごっそり出てきました。

腐敗臭という腐った匂いもありました。

口の中は狭くて暗いため根管口を肉眼で見つけるのは非常に難しいため、この部分は根管治療がされていなかったと思われます。

 

その後、出血がありましたが根管内をキレイにして出血も無くなりました。

今回はここまでです。

自覚症状が全くなくむし歯が進行し、未処置の根管が確認されました。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しなけれが、確認することも治療することも難しいと思います。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)がありよかったです。

動画での説明によりなぜ治療が必要なのか、どのような状態なのか、治療中はどのようになっているかなどお見せすることができるのもとても良いです。

患者さんからは安心すると言って頂きました。

次回問題なけば最終的なお薬を入れて根管治療が終わりになります。

なるべく歯を残せるように精進していきます。

根管治療回数:3回(約1ヶ月)
費用:コア除去22,000円
   根管治療132,000円
リスク・副作用:腫脹、疼痛、歯肉の違和感など
すべての歯が適応ではありません。
詳しくは担当歯科医師にご相談下さい。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史