【歯周病治療・歯石除去】歯肉が大きく腫れた方を手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しての歯周病治療

こんにちは。

東京都立川市の歯科医院「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。

今回は歯肉が大きく腫れた方を手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しての歯周病治療についてです。

患者さんは30代の女性です。

歯肉が痛く歯周病治療をご希望で来院されました。

最近は歯周病でお困りで来院する方が多いと感じています。

歯石を取って欲しい方や口臭が気になる、歯肉に違和感がある、歯がグラグラしているなどいろいろです。

その患者さんに一番良い治療を提案できればと思います。

まずはよくお話を聞かせて頂きます。

その後に検査、資料を取ります。
 

■手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して口腔内を確認

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して特に歯肉の腫れが強い下顎前歯部歯肉を確認していきます。
 

歯肉が赤く炎症で腫れています。

歯と歯肉の間から排膿しています。
 
歯と歯の間に歯石や細菌の塊のバイオフィルムが確認されます。

歯肉も腫れてブヨブヨしています。

歯周ポケットも平均5mm以上認められ出血、排膿もあります。

全体的に歯周病が進行しています。

■歯周病について

歯周病とむし歯(虫歯)は歯をなくなる原因のトップ2です。

厚生労働省の令和4年歯科疾患実態調査からも、4mm以上の歯周ポケットを持つ者の割合は、高齢になるにつれ増加していた。年次推移を見ると、75歳以上の年齢階級で前回調査(平成28(2016)年)と比較して増加した。と報告されています。　　

The limits of subgingival scaling.Stambaugh RV, DragooM, Smith DM, Carasali L（1981）
この研究は、歯周ポケットが3.73mm以上あると歯石を取り残す可能性が高いと報告されています。

約4mm以上歯周ポケットがあると歯周病を治癒させることが難しいと示唆されます。

歯周病はむし歯や根管治療が必要な方に比べ症状が出にくい疾患です。

歯周病の症状は歯肉から血が出る、口臭が気になる、歯肉の違和感、進行すると歯がぐらぐらするなどあります。

当歯科医院では手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して歯周病治療を行なっています。

当歯科医院の歯周病治療について→マイクロスコープを使用した歯周病治療

患者さんに手術用顕微鏡(マイクロスコープ)の動画や検査結果を使用してよく説明しました。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した歯周病治療を行うことになりました。
 

■歯周病治療

患者さんは歯ブラシは意識してよく磨いてくれています。

実際の治療をしていきます。

出血がある部分もありますので注意して下さい。

麻酔を行い始めていきます。

麻酔は普段むし歯治療などで使用するものと同じです。

術中も術後も痛みが出たという患者さんはあまり聞きませんので、ご安心ください。

歯根表面を手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用して観察します。

歯根表面にぎっしり茶色い歯石が付着していてその上にバイオフィルムが多く付着しています。

歯肉の腫脹や発赤、排膿、出血の原因と思われます。
 

歯根表面を観察後に歯根を傷つけないように、慎重に歯石除去、バイオフィルム除去、破壊を行います。

 

歯根表面を滑沢にします。

歯石除去も非常に難しいですが、この滑沢にすることもとても難しいです。

同じように下顎前歯部をキレイにしていきます

歯根表面を確認しバイオフィルム、歯石除去、破壊を行います。
 

時間をしっかり確保して下顎前歯部を徹底的にキレイにします。

■術前と術後の比較

術後1週間です。

患者さんは麻酔が切れた後も痛みや染みる症状など深い症状はありませんでした。

上が術前で下が術後です。
 

まだ術後1週間と経過が短いですが、術前より歯肉の色、腫れがが改善されています。

患者さんも舌で歯肉を触ると今までとは違うと実感されています。

術前は歯が隠れるくらい歯肉が腫れていました。

治療期間・回数：約1ヶ月、3回
費用(自由診療になります。)：145,200円(下顎前歯6本)
リスク・副作用：出血、腫脹、疼痛、歯肉の違和感、歯肉退縮、しみる症状など
※歯周病の進行状態、歯の本数によって費用が異なります。

今回は手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した歯周病治療の歯石除去についてでした。

肉眼や拡大鏡(ルーペ)では暗くて狭い口腔内のしかも歯周ポケット内の歯石やバイオフィルムを観察することは難しいと思われます。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した歯周病治療や根管治療、むし歯治療などご興味があります方はご連絡お待ちしています。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史