【根管治療・レーザー治療】自覚症状はなく手術用顕微鏡(マイクロスコープ)で見つかった深いむし歯の治療(根管治療+パーフォレーション編)

2024.04.17

こんにちは。

東京都立川市の歯科医院「Inoue Dental Clinic」歯科医師の井上貴史です。

今回は自覚症状はなく手術用顕微鏡(マイクロスコープ)で見つかった深いむし歯の治療(根管治療+パーフォレーション編)の内容を書きたいと思います。

患者さんは他の歯の根管治療を手術用顕微鏡(マイクロスコープ)で治療を希望され来院されました。

患者さんの気になる根管治療が落ち着き、他の歯も検診を希望されました。
 

左下の奥から二番目の第一大臼歯が今回の治療の歯です。

銀歯が入っています。

歯肉が赤く炎症がありますが、一見特に問題がない様にも見えます。
 


銀歯と歯肉の間に器具を入れるとごっそり食べかすやバイオフィルムが出てきました。

X-P写真からも銀歯の下がむし歯(虫歯)になっていることが予想されました。

患者さんはまったく症状はありませんでした。

私としては他の根管治療をさせて頂いた歯よりも、この歯の方が状態がよくないと当初から説明させて頂きました。

患者さんとしては症状がないこともあり、治療するか決断が難しい様でした。

他の歯の根管治療を手術用顕微鏡(マイクロスコープ)で行いその治療動画を見て、今回の歯も手術用顕微鏡(マイクロスコープ)で治療をしたいと決断されました。

術前にこの歯は状態がよくない事、抜歯の可能性もある事、むし歯(虫歯)などで歯質が少なくパーフォレーションの可能性や根管治療をした後はエクストリュージョンという部分矯正を行う可能性があることなど、患者さんによく説明し同意を得て治療を行いました。

エクストリュージョンとは→【歯を残す・エクストリュージョン】右下の歯を抜歯と言われた方の治療

まずは銀歯を除去していきます。

銀歯の除去した後は、金属の土台を外していきます。
 

銀歯の下はやはりむし歯(虫歯)がかなり進行していました。

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しながら金属の土台を除去するため安心安全、短時間で除去できました。

 

まだむし歯(虫歯)を除去していない状態ですが、歯肉が残っている歯に覆っています。

この状態だと根管治療ができないため、炭酸ガスレーザーを使用して歯肉を整えます。
 

炭酸ガスレーザーを使用することで止血効果や治癒促進など利点があります。

刃物などで歯肉を切って整えると出血のコントロールが難しく当日の治療の続きができなくなります。
 


歯肉を整えて隔壁を作りラバーダム防湿を行いました。

分岐部付近にパーフォレーション(歯に穴が空いた状態)が認められます。

 


パーフォレーション部にMTAセメントを入れてます。

MTAセメントについて→【根管治療・レーザー治療】右下の歯の深いむし歯の治療(歯髄温存療法:Vital Pulp Therapy編)

手術用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用しているためパーフォレーション部にMTAセメントを入れ封鎖できます。

違う方向からも封鎖できているか確認します。

もちろん根管内もキレイにしました。

今回はここまでです。

この歯は症状がなくむし歯(虫歯)が進行していました。

患者さんも驚いていました。

今回治療してよかったと言っていました。

患者さんの強い希望も歯を残す治療を行なっていきます。

症例によっては抜歯になる場合もあります。

今後はこの歯はエクストリュージョンを行う予定です。

次回のエクストリュージョンの内容です→【歯を残す・エクストリュージョン】自覚症状はなく手術用顕微鏡(マイクロスコープ)で見つかった深いむし歯の治療(エクストリュージョン編)

これからも歯をなるべく残せるように精進していきます。

根管治療回数:2回(約1ヶ月)
費用:メタルコア除去22,000円
   パーフォレーションリペア33,000円
   根管治療132,000円
リスク・副作用:腫脹、疼痛、歯肉の違和感など
すべての歯が適応ではありません。
詳しくは担当歯科医師にご相談下さい。

今後ともよろしくお願いします。

井上貴史